コラム

住宅手当の相場はいくら?厚生労働省の調査で見る平均支給額と支給企業の割合、自社の水準の決め方

公開日:2026年10月13日  / 最終更新:2026年10月14日  / 執筆:株式会社ネクストプレナーズ(社宅制度コンサルティング実績300社超)

要約:住宅手当を新設・見直しするとき、他社の水準を根拠付きで知りたい人事担当者向けの記事です。厚生労働省の令和7年就労条件総合調査(令和6年11月分)では、住宅手当などの平均支給額は月額18,700円、支給企業は諸手当を支給した企業の45.7%でした。企業規模別の数字の読み方と、自社の水準の決め方を整理します。

住宅手当を新設する、あるいは見直すとき、最初に聞かれるのが「他社はいくら出しているのか」という点です。社内で金額を決めるには、根拠のある数字が必要になります。

この記事では、住宅手当の相場を、厚生労働省の「令和7年就労条件総合調査」で確認できる範囲で整理します。平均支給額と支給企業の割合を企業規模別に示したうえで、数字の読み方の注意点と、自社の水準を決める手順を、人事担当者向けに説明します。

この記事のポイント

厚生労働省の令和7年就労条件総合調査(令和6年11月分)では、「住宅手当など」を支給された労働者1人あたりの平均支給額は18,700円(月額)でした。住宅手当などを支給している企業は、諸手当を支給した企業のうち45.7%、全企業に占める割合では41.7%です。

この平均は、住宅手当を支給している企業の平均です。自社の金額は、平均値だけで決めず、目的と対象者、予算から逆算することをおすすめします。

住宅手当の相場とは何か。この記事で使う統計

住宅手当の相場の意味

住宅手当の相場とは、他の企業が実際に支給している住宅手当の金額や、支給している企業の割合の目安のことです。法律で決まった金額があるわけではなく、各社が自社の目的に合わせて決めています。

厚生労働省の調査では、住宅手当は「住宅費(持家に係る費用、賃貸住宅の家賃等)の補助として支給する賃金」と定義されています。賃貸住宅の家賃だけでなく、持ち家に関する費用の補助も含まれる点に注意してください。

使う統計は「令和7年就労条件総合調査」

この記事で数字の根拠にするのは、厚生労働省の「令和7(2025)年就労条件総合調査」です。調査の対象は、常用労働者が30人以上の民営企業から抽出した企業で、期間を定めずに雇われている労働者(パートタイム労働者を除く)が集計の対象です。

諸手当の数値は、令和6(2024)年11月分として支給された手当を集計したものです。比較用に、前回の令和2年調査(令和元年11月分)の数値も併記します。

住宅手当の平均支給額はいくらか

住宅手当などを支給された労働者1人あたりの平均支給額は、月額18,700円です。令和2年調査の17,800円から900円増えています。

企業規模別の平均支給額と支給企業の割合

同じ調査から、企業規模別の数値を表にまとめます。支給企業の割合は、諸手当を支給した企業を100とした場合の、住宅手当などを支給した企業の割合です。

企業規模 住宅手当などの支給企業の割合 1人平均支給額(月額)
全体(令和7年調査) 45.7% 18,700円
1,000人以上 60.8% 21,100円
300~999人 59.0% 18,500円
100~299人 52.1% 16,400円
30~99人 41.6% 17,500円
参考:令和2年調査(令和元年11月分) 47.2% 17,800円

出典:厚生労働省「令和7年就労条件総合調査 結果の概況」の第17表・第18表。数値は原典の千円単位の表記を円に直しています。

表から読み取れること

この数字を「相場」として使うときの注意点

平均支給額の18,700円は、そのまま自社の目安にはなりません。次の点を踏まえて読んでください。

平均は「支給されている人」だけの平均

18,700円は、住宅手当などを支給された労働者1人あたりの平均です。住宅手当を支給していない人は含まれていません。全従業員で割った平均ではないため、会社全体の負担を見積もるときは、実際に支給する人数で計算し直す必要があります。

調査の対象外の規模や支給条件は分からない

持ち家の補助も含まれる

調査上の住宅手当には、賃貸住宅の家賃の補助だけでなく、持ち家に係る費用の補助も含まれます。賃貸居住者向けの手当だけを見た水準とは、同じにならない場合があります。

自社の住宅手当の水準はどう決めるか

自社の水準は、統計の平均を出発点にしつつ、目的・対象者・予算の順に絞り込んで決めます。次の手順で整理すると、社内で説明しやすくなります。

ステップ1:何のために支給するのかを決める

採用での訴求、転勤者への支援、若手の定着など、目的によって適した金額と対象者は変わります。目的があいまいなまま金額だけを決めると、後で見直す理由を説明しにくくなります。

ステップ2:対象者を決める

全従業員を対象にするのか、賃貸住宅に住む人に限るのか、世帯主に限るのか、転勤者に限るのかを決めます。対象を広げるほど総額が増えるため、金額と対象はセットで検討してください。

ステップ3:支給方法を決める

一律の定額にする方法、家賃の一定額までを上限に支給する方法、家族構成などで段階を設ける方法があります。どの方法でも、支給条件は就業規則や賃金規程に明記しておくことをおすすめします。

ステップ4:統計の平均と自社の家賃事情を照らし合わせる

表の平均を参考にしつつ、従業員が実際に払っている家賃の分布や、勤務地の家賃水準を確認します。平均より高く設定するか低く設定するかは、目的と予算で判断します。

ステップ5:年間の総額を試算する

対象者数に月額を掛け、12か月分で試算します。たとえば、対象者が50人で月額18,700円とした場合、月額の合計は935,000円、年額は11,220,000円になります。この金額は計算の例であり、会社負担となる社会保険料などは含みません。

住宅手当を設計するときに確認したい課税と賃金の扱い

現金で支給する住宅手当は給与として課税される

現金で支給する住宅手当は、給与として課税されます。国税庁のタックスアンサーNo.2597は、「現金で支給される住宅手当や、入居者が直接契約している場合の家賃負担」を、社宅の貸与とは認められないので給与として課税されると説明しています。

会社が借り受けた住宅を貸与する社宅は、従業員から一定額以上の家賃を受け取ることで、給与として課税されない仕組みがあります。住宅手当と借上社宅の違いは、借上社宅と住宅手当はどちらが有利かで、税・社会保険・実務負担の3つの軸から整理しています。

割増賃金の算定基礎に入るかは別に確認する

労働基準法施行規則第21条は、割増賃金の基礎となる賃金に算入しない賃金の一つとして、住宅手当を挙げています。ただし、自社の住宅手当がこの規定にあてはまるかは、支給の方法によって確認が必要です。残業代の計算に影響するため、社会保険労務士や労働基準監督署に確認してください。

手当以外の選択肢との比較

住宅に関する福利厚生には、住宅手当のほかに、社宅の貸与などがあります。それぞれの特徴は、住宅に関連した福利厚生制度の種類と概要で比較しています。住宅手当を新設する場合は、就業規則や賃金規程の整備も欠かせません。手順は社宅規程の作り方。就業規則改定・労基署届出までの実務手順が参考になります。

ネクストプレナーズの見解

住宅手当の相場を調べるとき、平均額に合わせることが目的になってしまう場面があると感じます。ただ、統計の平均は、支給している企業の平均にすぎず、自社の従業員の家賃負担や支給の目的を表すものではないと考えます。

まず、何のために・誰に支給するのかを決め、統計の数字は「自社の金額が高すぎないか、低すぎないか」を確認する物差しとして使うことをおすすめします。金額が同じでも、課税の扱いが異なる社宅制度と比べたうえで、自社に合う方法を選ぶと、従業員への説明もしやすくなると考えます。

住宅手当の水準を決めるときのチェックリスト

まとめ

厚生労働省の令和7年就労条件総合調査(令和6年11月分)では、住宅手当などを支給された労働者1人あたりの平均支給額は18,700円で、支給企業は諸手当を支給した企業の45.7%でした。企業規模が大きいほど支給企業の割合は高く、1,000人以上では60.8%です。

この平均は、支給している企業と支給された人だけの数字です。自社の水準は、目的、対象者、年間の総額の順に決め、統計は水準を確認する物差しとして使ってください。

ご利用にあたっての注意

この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案に対する税務上・労務上の助言ではありません。統計の数値や税務の取扱いは更新される場合があります。実際の制度設計にあたっては、最新の資料を確認し、税理士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

監修

監修:仙頭 武宏(株式会社ネクストプレナーズ 代表取締役社長)

東京工業大学(現・東京科学大学)工学部制御システム工学科卒業。日本オラクル株式会社でエンジニア、コンサルタントを経て経営企画室マネージャを務める。一橋大学大学院商学研究科(現・一橋ビジネススクール)経営学修士(MBA)修了。独立コンサルタントを経て、2012年より株式会社ネクストプレナーズ代表取締役社長。

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出典

よくあるご質問

月額18,700円です。厚生労働省の令和7年就労条件総合調査(令和6年11月分)で、「住宅手当など」を支給された労働者1人あたりの平均支給額として示されています。住宅手当を支給していない人は含まれない平均です。
諸手当を支給した企業のうち45.7%です。厚生労働省の令和7年就労条件総合調査(令和6年11月分)では、全企業に占める割合は41.7%とされています。企業規模が大きいほど支給企業の割合は高く、1,000人以上は60.8%、30~99人は41.6%です。
金額が規模の小さい順に低くなるとは限りません。同じ調査の平均支給額は、1,000人以上が21,100円、300~999人が18,500円、100~299人が16,400円、30~99人が17,500円です。支給している企業の割合は、規模が大きいほど高くなっています。
はい、給与として課税されます。国税庁のタックスアンサーNo.2597は、現金で支給される住宅手当や、入居者が直接契約している場合の家賃負担は、社宅の貸与とは認められないので給与として課税されると説明しています。個別の取扱いは税理士に確認してください。
労働基準法施行規則第21条は、割増賃金の基礎となる賃金に算入しない賃金の一つとして住宅手当を挙げています。ただし、自社の住宅手当がこの規定にあてはまるかは、支給の方法によって確認が必要です。社会保険労務士や労働基準監督署に確認してください。
平均額に合わせることを目的にする必要はないと考えます。統計の平均は、支給している企業の平均です。まず支給の目的と対象者を決め、年間の総額を試算したうえで、平均は自社の金額が高すぎないか、低すぎないかを確認する物差しとして使うことをおすすめします。

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