コラム

社宅代行とは何か|業務範囲・費用相場・失敗しない選び方を解説

公開日:2026年10月1日  / 執筆:株式会社ネクストプレナーズ(社宅制度コンサルティング実績300社超)

要約:社宅制度を運用していると、物件探しから契約手続き、家賃の支払い管理、入退去対応まで、人事・総務担当者が抱える業務は多岐にわたり、戸数が増えるほど負担も重くなります。社宅代行とは、こうした社宅・寮にまつわる管理業務を専門の代行会社に委託できるサービスです。本記事では、社宅代行で委託できる具体的な業務範囲、月額費用の相場、自社に合った代行会社を選ぶためのチェックポイントを、社宅制度の運用負担に悩む人事・総務担当者向けに整理して解説します。

社宅代行とは何か

社宅代行とは、企業が所有する社有社宅や、企業が賃貸契約を結んで従業員に貸与する借上社宅について、契約手続き・家賃等の支払い管理・入退去対応・入居者からの問い合わせ対応といった管理業務を、外部の専門業者に委託できるサービスです。社宅・寮の戸数が多い企業ほど、契約更新や家賃振込、退去時の原状回復対応などの実務が煩雑になりやすく、人事・総務担当者が本来の業務に充てる時間を圧迫しがちです。社宅代行会社に業務を委託することで、こうした定型的かつ専門知識を要する業務を切り出し、社内の負担を軽減できます。

社宅代行が注目される背景

社宅・寮を保有・運用する企業では、転勤や異動のたびに物件探しから契約、引っ越し手配、退去時の精算までの手続きが発生します。担当者が少人数のまま戸数だけが増えていくと、業務が特定の担当者に集中する「属人化」が進みやすく、担当者の異動や退職によって引き継ぎが滞るリスクも高まります。また、家賃の支払い管理や契約更新の期限管理を手作業で行っていると、更新漏れや二重払いといったミスも起こりえます。こうした課題を背景に、社宅・寮の管理業務を専門業者に委託し、人事・総務は制度設計や例外対応に集中するという役割分担の見直しが進んでいます。

社宅代行の業務範囲

社宅代行会社に委託できる業務は、社宅の形態が社有社宅か借上社宅かによって内容が異なります。導入を検討する際は、自社が委託したい業務が対象サービスの範囲に含まれているかを事前に確認することが重要です。

社有社宅の場合に委託できる業務

企業が建物を所有している社有社宅では、資産としての管理と建物の維持管理の両面が委託対象になります。

借上社宅の場合に委託できる業務

企業が賃貸物件を借り上げて従業員に貸与する借上社宅では、契約と支払いに関する実務が中心になります。

出典:CMPハウス「業務内容を知りたい!社宅代行サービスの中身とは」

社宅代行を導入するメリットとデメリット

メリット

社宅代行を導入することで、主に次のような効果が期待できます。

デメリット

一方で、導入にあたっては次のような点も踏まえて検討する必要があります。

社宅代行の費用相場

社宅代行会社に支払う代行手数料は、業務委託の対価であり、従業員の家賃負担額を算出する際の基準となる賃貸料相当額とは別の概念です。見積もりを比較する際は、この2つを混同しないよう注意してください。

月額手数料の目安

社宅代行の料金体系は、委託する戸数に応じた従量制が一般的です。戸数が多いほど1戸あたりの単価は下がる傾向があります。

委託戸数月額費用の目安1戸あたり単価の目安
30戸60,000円〜約2,000円
50戸75,000円〜約1,500円
100戸120,000円〜約1,200円

出典:株式会社LIXILリアルティ「社宅代行サービス 料金・サービス案内」

このほか、借上社宅を対象とした代行サービスでは、1戸あたり月額1,000円〜2,000円程度を手数料の目安として提示している例もあります。出典:シャタクス「気になる社宅管理代行サービスの利用料金は?」

初期費用の目安

初期費用は、委託する業務範囲や社宅の戸数によって異なり、一律の金額を示すことは難しいとされています。社宅管理の範囲が広く内容も多様なため、委託したい業務範囲を整理したうえで、複数の代行会社から見積もりを取得し比較することが推奨されています。出典:シャタクス「気になる社宅管理代行サービスの利用料金は?」

なお、従業員から徴収すべき賃貸料相当額は、次の計算式で算出します(社有・借上を問わず共通の計算方法です)。

賃貸料相当額 = 建物の固定資産税の課税標準額 × 0.2% + 12円 × 建物の総床面積(㎡)÷ 3.3(㎡) + 敷地の固定資産税の課税標準額 × 0.22%

出典:国税庁「No.2597 使用人に社宅や寮を貸したとき」

社宅代行会社の選び方

社宅代行会社は業務範囲や料金体系、得意とする社宅の形態がそれぞれ異なります。自社の状況に合った会社を選ぶために、次のポイントを比較検討してください。

  • 自社が保有する社宅の形態(社有社宅・借上社宅)に対応した業務範囲を提供しているか
  • 料金体系が戸数単価・初期費用・オプション費用まで明確に提示されているか
  • 委託したい業務(契約代行、支払管理、入退去対応など)を過不足なくカバーしているか
  • 管理システムやオンライン申請など、社内の情報システムと連携しやすい仕組みがあるか
  • 入居者からの緊急連絡やトラブル対応の体制が整っているか
  • 個人情報を含む入居者情報の取り扱いについてセキュリティ体制が明示されているか
  • 契約期間の縛りや解約時の条件、委託範囲の見直しに柔軟に対応できるか

社宅代行導入時の注意点

社宅代行を導入する際は、委託すれば終わりではなく、社内側の準備も必要になります。

社宅代行の導入事例

社宅代行サービスを提供するスターツコーポレートサービス株式会社が公開している事例紹介ページでは、複数の企業による導入効果が紹介されています。

例えば、不二サッシ株式会社の事例では「社宅管理代行導入で、業務全体の約80%が削減」されたことが紹介されています。また、野村證券株式会社の事例では、社宅管理の体制が「属人化を解消し35名体制から7名へ」と変化し、業務負荷とコストの両面で削減が図られたことが紹介されています。いずれも、担当者の業務集中や属人化という課題に対して、代行会社への委託によって体制のスリム化を実現した例といえます。

出典:スターツコーポレートサービス株式会社「社宅代行|事例紹介」

まとめ

社宅代行は、社有社宅・借上社宅の契約手続きや家賃の支払い管理、入退去対応といった定型業務を専門業者に委託できるサービスであり、戸数の多い企業ほど導入による負担軽減の効果を得やすくなります。

よくあるご質問

社宅・寮の契約手続き、家賃の支払い管理、入退去対応などの管理業務を、専門の代行会社に委託できるサービスです。
管理戸数に応じた従量制が一般的で、1戸あたり月額1,000〜3,000円程度が目安です。初期費用は業務範囲や戸数により異なり、一律には示せません。
はい。社有社宅は資産管理や建物の保守点検が中心となり、借上社宅は物件の斡旋や契約更新・解約手続きが中心になります。
いいえ。代行手数料は業者への委託料、賃貸料相当額は従業員の家賃負担額を算出する税務上の基準額で、別の概念です。
対応業務の範囲、料金体系の明確さ、情報セキュリティ体制、緊急時対応、契約条件の柔軟性などを比較することが重要です。
委託費用が継続的に発生するほか、社内に運用ノウハウが残りにくくなる点や情報連携の仕組み整備が必要になる点に注意が必要です。

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